休業期間や時短勤務の取扱い
育児休業・介護休業 | 休んだ期間を除くことができる |
給与 | ○ |
賞与 | ○ |
定期昇給 | ○ |
退職金 | ○ |
有給休暇日数の決定要件(8割出勤率) | × |
時短勤務期間 | 働かない時間を除くことができる |
給与(基本給) | ○ |
給与(諸手当) | × 福利厚生的な手当(家族手当や住宅手当) ○ 労務に関する手当(資格手当や役職手当) ※支給の有無は、就業規則等に記載して下さい。 |
賞与 | ○ |
勤続日数 勤続年数 | × 時短勤務でも1日とカウントします。 × 時短勤務期間を勤続年数から除くことはできません。 |
定期昇給 | ○ 短縮された勤務時間分を人事評価において考慮することはできます。 × 時短勤務者は昇給させない、人事評価を全くしない等、 短縮した時間以上の不利益な取扱いはできません。 |
退職金 | × 勤続年数 = 時短勤務期間を除くことはできません。 ○ 貢献度や人事評価 = 勤務時間を考慮して評価することはできます。 |
年次有給休暇
有給休暇の要件は、1年間の所定労働日の8割以上出勤していることです。
以下の期間は、出勤したものとして出勤率を計算してください。
・業務上の疾病等による休業
・産前産後休暇
・育児休業(産後パパ育休含む)
・介護休業
※子の看護休暇や介護休暇などは労使間の合意があれば出勤したものとすることができます。
給与計算
ノーワークノーペイの原則により、働かなかった期間や時間は無給とすることができます。
ただし、働かなかった日数や時間を超えて無給とすることはできないので、育休中でも勤務した日がある場合は、勤務日数分や勤務時間分を支給してください。
また、時短勤務期間の諸手当については就業規則で定めることができます。
労務に関する手当については、働かない時間分を控除することに合理性はありますが、福利厚生の目的で支給している手当は、控除しない方がその目的に則しています。
賞与
賞与の支給額を決定するにあたり、出勤率を要件にしている場合は、育休で休んだ期間を出勤しなかったものとすることはできます。
ただし、育休期間中に出勤した日数や、時短勤務で働いた日数は、出勤率に含めてください。
定期昇給
育休等の期間中は、定期昇給を行わないものとすることはできます。
ただし、休業期間より長い期間を選考対象としないとすることはできません。
(例)
- 1年間のうち、3か月の育休介護休期間がある場合、9か月の就労状況を考慮せずに昇給させないのは不利益な取り扱いになります。(大阪高判平26.7.18)
- 3年連続A以上の評価が昇給要件の場合、育休期間をはさんで3年度A評価であったときは、3年連続A評価であると取り扱うこと。育休で休む前のA評価を含めないことは不利益な取り扱いになります。(育介法施行通達)
- 評価期間よりも休業期間が短い場合や複数年の評価期間に休業期間がまたがる場合、不利益な取り扱いとならないよう制度の合理性や公平性が求められます。(育介法施行通達)
退職金
退職金額の決定にあたり、育休介護休の期間を勤務しなかったものとして算定することはできます。
ただし、勤続年数が支給要件の場合、退職金額を計算する際には、休業した期間の前後の期間は通算して下さい。
時短勤務者の昇給・退職金については、
短縮された時間分を人事評価で考慮することは違法な不利益取扱いにはなりませんが、時短なので昇給させない全く評価しないなど、短縮した時間以上の不利益な取扱いは違法になります。
また、退職金を勤続年数のみで算定している場合、時短勤務日も1日とカウントしますので、出勤率や勤続年数から除くことはできません。
育休や介護休、時短勤務については、就業規則等に定めて届け出る必要があります。