転職の準備で気をつけることは…

転職を考えているんだけど、会社への退職報告は2週間前でもいいのかなぁ

退職の申し出については、就業規則などで定めていることが多いのですが、有期契約でない場合は、民法第627条により、退職日の2週間前までに申し出を行うことも可能です。トラブルを避けるためには、引継ぎなどの時間も考慮して、退職の申し出を行うことが望ましいですよ。

退職日までの有休消化

退職日までの10日間、今まで使えなかった有給休暇を消化しようと思うんだけど…

有休は、従業員が請求した時季に与えなければなりませんので、退職する際に、今まで取得できなかった有休を、まとめて利用することも可能です。

退職前の有給休暇について、会社は時季変更権を行使できる?
“有給休暇の時季変更権”は、業務の運営上どうしても支障がでてしまう場合に、休む日を変更するよう従業員に求めることができる権利ですが、退職日までの数日間を有給休暇とした場合、すでに変更できる時季がないので、会社はこの権利を使うことはできません。
退職の申し出と同様に、引継ぎなどの必要な時間を考慮しつつ、有給休暇を消化することができれば、トラブルにならないと思います。

退職月の社会保険料額

退職月の社会保険料は2か月分天引きされるって聞いたんだけど、どうして?

ほとんどの会社では、給与から天引きする社会保険料は前月分なので、退職日によっては前月分と当月分を天引きすることになるからです。

退職する場合の社会保険料は、資格喪失日(=退職日の翌日)から徴収されません。
例えば、8月31日退職の場合、資格喪失日が9月1日になり、月単位なので、9月分から徴収されません。
8月の社会保険料は、9月の給与から天引きしますが、9月の給与が支給されない場合は、8月の給与から7月と8月分を天引きすることになります。

給与締め日と支払日と退職日によって社会保険料の徴収額が変わります。

給与締日給与
支給日
退職日資格
喪失日
天引きされる
社会保険料
月末締め翌月払い8/319/19月給与から
8月分天引き
月末締め当月払い8/319/18月給与から
7・8月分天引き
15日締め当月払い8/319/19月給与から
8月分天引き
15日締め当月払い8/158/168月給与から
7月分天引き

給与締日と給与支給日の確認

給与支給日はわかるけど、締め日はどうしたらわかる?

給与締め日と支払日は、雇用契約書や就業規則に記載されてます。
または給与担当者に確認するのも良いですね。
毎月の給与がいつの分なのかを間違って記憶していると、退職月の給与が思いのほか少なかったり、まったく支払われなかったりということがあります。
転職の場合は、新しい会社での給与締め日と支払日も確認しておくと、転職した月のお給料がいくらになるのか把握できて安心ですよ。

転職先でも社会保険に加入する場合は、前職と転職先との間に、加入していない空白月ができないようにすることをお勧めします。
空白月があり、保険料が未納になっていると、年金事務所から自宅へ通知が届き、国民年金保険料を納付しなくてはなりません。

住民税の支払い

住民税も給与から天引きされているけど、転職先でも天引きしてもらえるのかなぁ?

転職先で、住民税の給与天引きを希望する場合は、その旨を会社に伝えると手続きをしてもらえます。
または、退職月のお給料などで少し余裕がある場合、前職で残額をまとめて天引きしてもらうことも可能ですよ。
残額を一括で支払った場合は、翌年の住民税額が決定されるまで、転職先では天引きされません。

転職先での給与天引き、または一括納付による住民税の支払いがないと、自治体から住民税の納付書が自宅に届きます。納付書の期日までに支払わないと、延滞税が発生するので気をつけて下さい。

iDeCoの変更届

個人でiDeCoに加入しているんだけど、何か届出は必要かなぁ?

個人型確定拠出年金iDeCoは、転職に伴う変更届の提出を忘れないで下さい。
事業所変更届と事業主証明書などの提出が遅れると、掛金が2か月分以上納付できなくなりますので、転職・退職が決まり次第、加入しているiDeCo運営管理機関に問い合わせて手続きを行って下さい。

転職などで、入社時から厚生年金に加入すると約束された場合、加入日は、入社した日になります。
月の途中の入社だから、翌月1日付けで加入するということは、違法ですから、事前に厚生年金の加入日を確認しておくことをお勧めします。
万が一、厚生年金の加入日が異なっていた場合は、会社の管轄年金事務所の調査課へ雇用契約書等を持参して、相談することもできます。